それでも日々はつづくから、深くも浅くも感じる良書エッセイ

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知らなかった。久しぶりに知らないことで損したなー、と思える本に出会いました。燃え殻という何とも不思議な著者名が目に止まりました。

僕はここ15年程、基本はネットショップでしか本は買いません。それでも月1くらいの頻度で本屋さんに足を運び2〜3冊を買います。

本屋って出会いがあるから好きなんです。それに目次や冒頭部分を読めるというのも大きい。文体によって好みは分かれますから、一度確認したいんですよね。

サブカル的なことが好きな人に向いているだろう抜け殻さんの作品は、別に誰でも共感するのではないかとも思えます。

気になる人は小説でもエッセイでもラジオでも触れてみるとイイかも。

同年代あるある

著者の燃え殻さんは、同年代だから分かる内容も心に刺さりました。加えて、わざとらしくない文学臭も漂います。

絵で言うところの「ヘタウマ」感がとっても好き。(——ご自身で絵も描かれるからそのままかも)

彼の小説はまだ読んでいないけど、エッセイストとして確かに楽しめると思う。

ご本人も中島らもさんのことに触れてて、確かに同じ枠だなと感じた。ラジオの人生相談とか。

脱力系で本質を突くといった表現で、今流行の○-□さん(成田悠輔さん)と共通していると思う。時代は繰り返す。

内容や世界観が、昭和の末期を大人びて過ごした経験がある世代にはど真ん中です。

なんだろう。あの時代のあの空気感ってのは、今とは違ったカオス感に満ちていて、多様性とはあの時の人々なんじゃなかと感じてしまう。

子供が多く、皆が横並びで同じ事をしていた時代。僕は皆と同じが嫌で嫌でしょうがなかった。だから変わった人が多かったと思う。(自分も含めて)個性豊かな人だらけなのに、どこか皆と一緒が良いみたいな風潮があり矛盾していた。

あのときも経済的に不況になっていたけれど、希望だけはあったかも知れない。ここ30年、希望だけがない気がする。

本屋でしか会えない本かも

全く知らなかった著者のことも、検索すればたくさん出てきます。

今までかすりもしなかったのに、結構有名な人だった。それだけ広く情報を得られない世だからか、それとも単にそこまで売れていないからか、なかなか辿り着けないのは分からない。

昔も同じだったと思うけど、本屋に行かなくなったからなのか??

手に取ったのも偶然で、たぶん哲学の新刊が置いてある棚だった。

以前、同じ本屋の同じ棚にある本を買って面白い本に出会えた成功体験から、今日も何かあるかなと眺めていたに過ぎない。しかも、隣の本に興味があって手に取って棚に戻す時に目に付いた。

背表紙しか見ていない中、著者名が無いのかと先入観で気になった。普通、燃え殻が著者名とは思わない。

本もジャケ買いはあると思うけど、背表紙だけでビビッと気になるのは相当にズルい。

東京

これは当たり前かも知れないけど、燃え殻さんもやはり東京に住んで活躍している人です。田舎者としては、そこは未だに変わらないな、と。文学系は特にそれが強いと思う。

いや、良いいんだけど、東京に憧れを持たない者としては、売れてから地方在住じゃなくて、フツーに地方で活躍している人がもっと居てもいいと思う。

出版社の関係やイベント開催などで東京になってしまうのも理解できるし、そういうもので片付けられるとも思うけどね。

テレビだと地方だけで有名な人っても居るから、文学もそろそろ上京しなくても良い気がする。売れる人が東京が好きというのが大きいのかな。

ほとんど田舎者の僻みですが。

東京の話題を含んでも、日本人の心情はそこまで変わらないから、抜け殻さんの文章が要所要所で響く。読んだ本がエッセイ本だからか、何の垣根も無しに読めるため、まるで水のような印象。

言葉選びや構成には、ちょっとした中毒性もある。

体温と同じ湯に浸かって、時折炭酸が湧き上がるような感覚もあり、自分とボーダーレスな共感を覚えた。

特に今の世情だから尚更にそう思うのかな。

中年におすすめ

誰にでもおすすめできるけど、特に中年の男子に読んでもらいたい。

他にも、心を病んでいる人や、人生に疲れたなと思ったことがある人にも読んでもらいたい。人生の状況はどうであれ、そういうものですよねって思える。

著者と世代が近いから尚更に共感する。いや、皆さん同じなんだろうね。金が有る無し、権威がある無し、病気であろうが無かろうが、同じ事を考えていると思いますよ、ホント。

それでも日々はつづくくからなんでしょう。深くも無く浅くも無くね。

ちょっと頑張ろうと思ってしまうのも、実際どうなんだろうと自問してみたりしてしまった本でした。

エッセイだけでは無く小説も出版されています。ドラマ化や映画化されているとは思いませんでした。でも、やっぱりエッセイの方が好きだな。

プロフィール
雲野ジュン

収入が得られなくなるまでゆるく続けている“なんちゃってブロガー”
50代、サラリーマン→うつ→離婚→再び独身→コロナ禍でもなんとか生きてきたブロガー。 子供に会いたい。気分良く働きたい。皆さんのように普通に戻りたい。いや、戻りたくない。
直感を信じて生きることにしました。

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